こんにちは、「のの歯科」です。
今回は口腔清掃つまり歯磨きの回数についてお話させて頂きます。
みなさんは1日に何回歯磨きをしていますか?
多くの人は1日2回みがくという方が多いでしょうか。
私が大学生の頃、歯周病学という授業で2日に1回の歯磨きでいいと言っている先生がいました。これは、当時のエビデンス(科学的根拠)に基づくものです。ただし、これはプラーク(歯に付着している細菌のかたまり)が完全に除去した場合です。2日に1回、歯科医院へ行き、歯科衛生士によるプロフェッショナルなクリーニングを受ければ、健康な歯ぐきを維持できるということです。しかし、2日に1回歯科医院に行くのは現実的ではありません。
意外にも2016年まで、歯磨きの回数に関する論文はあまりなく、私の大学生の頃もそう習ったのだと思います。
2016年に健康な歯ぐきの方においての歯磨きの回数の研究が行われました。歯磨き指導を受けた後、セルフケアだけでは本当に2日に1回だけでいいのかというものです。結果は、やはりセルフケアだけで、2日に1回では健康な歯ぐきの維持はできないというものでした。この研究では、24時間に1回の適切なセルフケアができていれば、健康な歯ぐきは維持できるというものでした。ただし、歯周病に一度かかった人はこの研究には含まれていませんでした。
2020年の研究で歯周病患者さんにおける歯磨きの回数が行われました。結果は12時間に1回の歯磨きをしなければ、歯ぐきの状態が維持できないというものでした。ただし、この研究には、重症の歯周病の患者さんはふくまれていませんでした。
意外にも、つい最近まで、歯周病の患者さんにおける歯磨きの回数についての科学的な根拠(エビデンス)がなかった様です。
つまり、歯周病学において、歯磨きの回数は歯周病にかかっていない方では1日1回、歯周病になったことがある人は1日2回、重症の歯周病の人はそれ以上磨かないといけない可能性があるということがわかります。
またむし歯予防においては、フッ化物が含まれた歯磨き粉を使って、1日2回ないし3回の歯磨きが必要と研究で明らかになっています。
歯磨きの目的は歯周病予防とむし歯予防において実は違います。
歯周病予防ではプラーク(歯に付着している細菌のかたまり)の除去が歯磨きの目的です。
むし歯予防においてはフッ素を歯や口腔内に届けることが歯磨きの目的になります。
むし歯予防と歯周病予防を総合的に考えると、1日に2回または3回の歯磨きが効果的になります。
もちろん適切なセルフケアが確立していることが前提になるので、ちゃんと磨けているか歯科医院で歯科衛生士にチェックしてもらったり、口腔清掃指導を受けることをおすすめします。適切に磨けていなければ、1日に何回磨いたとしても、磨けていない部分は1回も磨いていないのと同じなので注意が必要です。
また、口腔内のプラーク(歯に付着している細菌のかたまり)を100%除去することは、自分では難しいので、歯科医院での定期的なメインテナンスが必要となります。
いつ歯磨きするのが効果的なのか問題
歯磨きのタイミングとしては、食後または寝る前に磨くと良いです。
寝ている間は唾液の分泌量がすくないため、むし歯になりやすい環境となります。そのため、寝る前または夕食後は必ず歯磨きすることをオススメします。
何分磨けば良いのか問題
磨く時間に関してはどんなに効率良く磨いても最低2分くらいはかかりますので、2分以上磨くようにしてください。
歯磨き粉の量問題
フッ化物配合の歯磨き粉は15歳以上の場合、十分な量が必要となります。使用量の目安としては2cmですので、歯ブラシの毛の部分全体につける必要があります。
磨いた後はどのくらい食べない方が良いのか問題
磨いた後は、口の中のフッ素が残っていた方が良いので、2時間くらいは飲食はしないようにした方がよいです。だらだらお菓子を食べたり、ちびちびジュースを飲むのはむし歯のリスクが高いので、規則正しい飲食習慣のためにも歯磨きの後は2時間くらい飲食は控えた方が良いです。
〈まとめ〉
1日の口腔清掃の回数は2ないし3回が望ましいです。
2-2-2-2
この2が4つは覚えやすいので是非覚えてください。
1日に最低2回は歯磨きしましょう。
2cmフッ化物配合の歯磨きを使いましょう(15歳以上の場合)
最低2分間は歯を磨きましょう。
歯を磨いた後は2時間飲食を控えましょう。
また、セルフケア(自分での歯磨き)だけでは磨ききれない部分が出てくるので、歯科医院にてプロフェッショナルケア(歯科衛生士による口腔清掃)も必要になります。
うがいの仕方や歯間ブラシ、フロスなどの歯間清掃道具の使用法などの口腔清掃についても今後お伝えしていきたいと考えています。
飲食の頻度、フッ素の効果、むし歯の原因、歯周病の原因などについても書いていきたいと思います。
知識を身につけて、良い習慣を定着することができれば、歯科治療の必要のない健康な口腔でおじいちゃん、おばあちゃんになっても楽しく美味しく食事や会話を楽しむことができると思います。